技術紹介 TECHNOLOGY

電気加熱技術(SECT法)

大規模パイプライン加熱・LNGタンク底部ヒーターとして

弊社独自に開発した電気加熱システムがSECT法(Skin Electric Current Thermo)は、電流による「表皮効果」の原理をパイプライン加熱に応用したものです。特に1kmを超える長距離パイプラインにおいて、導入コスト、メンテナンスコストの両面で自己制御ヒーター、MIヒーター等の他の電気ヒーターよりも経済的になり、多くのお客様に採用されています。
また、メンテナンスフリーで標準設計寿命30年を超える耐久性をいかし、LNGタンク基礎部の凍結防止ヒーターとしても国内外で多数採用されています。

構造

輸送本管に鋼管(SECT管)を沿わせて直接溶接し、鋼管内部に耐熱電線(SECTケーブル)を通して、鋼管の端で耐熱電線と鋼管とを接続します。

原理

SECTケーブルを流れた電流はSECT管を通って還ります。
電流は表皮効果によりSECT管の内側表面にのみ集中して流れ、そのジュール熱により鋼管が発熱し、輸送本管を加温します。

特性

使用電圧:~3,500V
出力:15~150W/m
最大回路長:10km(1箇所の給電設備から10km加熱できます。※特徴欄参照)
使用温度:~220℃(耐熱温度:~250℃)

特徴

  • 高い耐久性
    SECT管は発熱体であると同時にSECTケーブルの保護管の役割も担います。この為非常に高い耐久性を実現しています。
  • 温度ムラが発生しない
    発熱体であるSECT管を輸送本管に直接溶接して取り付けるため、熱伝導効率が高く、温度ムラの無い安定した性能が得られます。
  • 高い安全性
    鋼管の外側には電圧は現われませんのでパイプライン自体を電気的に絶縁する必要が無く、逆に積極的に 接地を取る事が出来る安全なシステムです。
  • 高出力
    ケーブル自体が発熱する電気ヒーターの場合、ヒーターと輸送本管の接触による熱ロスが発生するため、ヒーターを輸送本管の維持温度より高温度で発熱させる必要があります。SECT法加熱設備は発熱体のSECT管から輸送本管に直接熱が伝わる構造のため、発熱体の温度上昇が避けられ、他のヒータケーブルの約3倍の発熱量(150w/m以上)を得ることができます。
  • エネルギー効率はほぼ100%
    SECT管内を流れる電流のジュール熱により発熱します。電線損失分も加熱源として利用されるので、エネルギー効率はほぼ100%です。
  • 1箇所の給電設備から最大20km加熱できる
    高圧電源が利用可能な唯一の電気加熱法です。1箇所の給電設備で最大20km(10km x 2回路)程度のパイプラインを加熱できるため、給電設備および回路数を少なくすることができ、設備費の面で非常に経済的です。

用途

  • 長距離配管加熱を低コストで実現
    一箇所の給電設備から加熱できる配管長が他の電気ヒーターよりも長く、給電設備および回路数を少なくすることができるため、設備費を抑えることができます。(一般的に一箇所の給電設備から加熱できる距離は自己制御ヒーター:50m、MIヒーター:700mと言われています)
  • 埋設配管、海底配管には特におすすめです
    SECT法電気加熱設備はSECT管とSECTケーブルだけのシンブルな構造です。SECTケーブル自体は発熱せず、SECT管が発熱体として機能するため、発熱によるSECTケーブルの劣化は無く、メンテナンスフリーで長期間の運転が可能です。(製品設計寿命は30年。一般的な実績で40年以上使用されています)